第三者コメント

事業を通じてSDGsの17目標を
包括的に取り組んでいる

伊香賀 俊治 様
慶應義塾大学 理工学部
システムデザイン工学科 教授
写真:伊香賀 俊治 様

今回のレポートで特筆すべきは、タイトルが「&EARTH REPORT」から「ESG Report」に変わっただけでなく、構成そのものが刷新されていることです。環境(E)、社会(S)、ガバナンス(G)というESG課題を中心として、いま注目を集めている持続可能な開発目標(SDGs)を組み込んだ編集がなされています。SDGsに掲げられている17目標に対して、三井不動産グループのどんな取り組みが、どの目標に対応しているのか、ひと目でわかる見せ方は画期的だと思いました。17目標すべてについて事業を通じて包括的に取り組もうという方針が伝わります。ESG投資の側面からも注目されるのではないでしょうか。

また、昨年のレポートに引き続き、オフィスや住居において「スマートウェルネス」を追求する姿勢を感じました。企業の生産性を高めるためには、社員が快適に働けるオフィス環境と、心身の健康を維持できる住空間が必要です。適度な運動が脳の活性化を促し、仕事の効率や子どもの学力に良い影響を与えるという研究報告もあります。三井不動産グループは良質なテナントオフィスと「柏の葉スマートシティ」に代表されるハイグレードな住空間を提供することにより、トータルな「スマートウェルネス」の実現に貢献しています。このレポートでは、「柏の葉スマートシティ」に建設された保育園や小児科を併設した「子育て世代を支援するマンション」が取り上げられていますが、2011年に日本橋と新宿のオフィスビルに「事業所内保育所」を誘致し、トレンドに先行して多様な働き方をサポートしています。こうした成果については、もっと強調してもよいと思います。

いま、各種センサーやIoTが進化して、大掛かりな装置を用いなくても人の活動量や睡眠の質を計測できるようになりました。今後は、それらのデータに基づくエビデンスを反映した街づくりが求められるでしょう。三井不動産グループが蓄積しうるビッグデータは、大きな価値を持つ財産となるはずです。その財産をぜひ事業活動に活かしていただきたいです。

三井不動産グループには、このレポートに掲載されている以外にも、持続可能な街づくりの実現に向けた取り組みがたくさんあると思います。街づくりを通じた社会課題への対応を継続するとともに、社内への啓蒙活動を進め、そうした情報を開示すべきです。来年のレポートを今から楽しみにしています。

従業員の満足向上・経験がサービスや
建物・街づくりの向上につながる

山川 文子 様
エナジーコンシャス 代表
消費生活アドバイザー
写真:山川 文子 様

世界共通の目標である「持続可能な開発目標」(SDGs)が、日本でも注目されています。今年度の特集レポートはそのSDGsに合わせた構成になっており、コンテンツごとに各目標のアイコンを示し、写真を多用して簡潔にまとめられています。わかりやすく、読んでみたいという気持ちを起こさせるもので好感を持ちました。

活動報告では、これまであまり開示されていなかった労働安全性や労働基準・労働慣行などの記載が増えています。これらもSDGsの17の目標と連動して、より具体的に示されるようになったと感じます。取り組みの状況が数値でも示されており、新しい情報開示の項目として評価できます。

顧客満足(CS)の向上を図るためには、従業員満足(ES)の向上・充実が必要です。企業が従業員により良い労働環境を提供し、また、多様な働き方を可能にするためのシステムを提供することは、ES向上のために欠かせません。これからも、さらなる労働環境の向上と積極的な情報の開示を望みます。

被災地支援や国際的な衣料支援など、企業が従業員のボランティア活動への参加の支援や機会の提供を行うことは大切なことだと思います。男性社員の育児休暇の取得も増えているようです。ボランティアや育児などを経験することで、それまでとは別の目線で暮らしを考えることができるようになり、サービスや建物・街づくりにも変化を与えていくはずです。ものづくりには男性、女性、両方の視点が必要ですので、女性の活躍の場も、もっと広げていってほしいと思います。

これからも、ユーザー目線でのサービス提供や建物・街づくりを進めるとともに、SDGsの達成に向けた取り組みを進めていってください。